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『……先程入ったニュースです。J県**村でダムの決壊により大規模な土砂崩れが起こり、全村に緊急避難命令が出されました』
小林さんが住んでいるふもとの村だ。
「ウソ!全村避難、って!」
「私達はどうなるの!?」
「誰か助けに来るの!?」
「当然でしょ!小林が私をおいて逃げたりするはずないもの!」
……だが。
『この土砂崩れでこの村の村議会議員、小林 洋実さんの自宅が埋まりました。小林さん夫妻と帰省中の長男、洋平さんと連絡がとれず行方不明です。警察は一家が土砂崩れに巻き込まれたものと見て……』
「ウソ!小林が!?」
「そんな、小林さん………!」
ラジオから流れた悲惨なニュースに、ツグミだけでなく、七人全員が悲惨な悲鳴をあげた。
信じたくない。
そして、雷鳴とはまた違う、不吉な低い音がどこからか鳴り響いてきた。
「これ…地鳴り……、ってヤツじゃないかなぁ」
アリサが冷静に皆に告げた。
「ダム湖ってこの別荘の上の方だよね?、ダム湖が決壊、ってココもヤバいんじゃない?」
「まさか……」
さすがにしょげたツグミが言い返そうとした瞬間、
建物を再び、地震や暴風とは違う不吉な振動と、轟音が襲う。
「ここから逃げた方がいいんじゃない?」
ルイが言った。
「かえって危険だと思う。道もあるかどうかわからないし。
ツグミ、この別荘、パニックルームなんてある?」
「パニックルームって何?」
ツグミが少しイライラしながら答える。
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