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三月の季節外れの爆弾低気圧。
「建物は古いけど、そんなチャチな造りじゃないから大丈夫。
いざとなれば非常用の電源もあるし、管理人が近所に住んでるから来てもらうわ」
戦前から旧華族や親日家の海外の要人が別荘地として訪れていたという知る人ぞ知る山奥の村。
その中でもひときわ高台にある洋館がセレブなクラスメート、ツグミんちの別荘だ。
昨日来たときはいい天気で暖かかったし、夕暮れの森を散歩する余裕もあったのに。
「みんな進路決まったし、春休みだし。記念にうちの別荘でのんびり好きに過ごさない?」
セレブ育ちとはいえ、学校では特に鼻にかけるようなこともなく気さくに皆に溶け込んでいるツグミ。……時折、金銭感覚の違いを思わせる天然な言動以外は、だけど。
そんなツグミの誘いに一も二もなく乗って、仲良しグループ8人ではしゃいでいたのは卒業式の数日前のこと。
あれよあれよという間に日程も計画も決まり、女の子8人、古くて高そうな調度品だらけの洋館でつかの間のお姫様気分を味わっていたのが嘘みたいだ。
しかし、ツグミの「大丈夫」発言が終わらないうちに、昔はパリのオペラ座にあったという豪華な……そして唯一の室内照明であるシャンデリアが不気味に揺らいで不規則に点滅した。……かと思うと、皆の集まるリビングが真っ暗闇に。
「きゃあああ、ナツ!怖い!」
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