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廊下の物入れには災害時用のセットがリュックに入って人数分置いてあった。
これもツグミ一家ではなく、管理人が用意したものなのだろう。
昼間、ふもとの村から別荘まで送ってくれた小林さん……という管理人の息子さんに私は好意を持った。
小林さんは普段は東京の大学に通っていて、春休みでふもとの実家に帰っているのらしい。
自分の分の非常灯を点けてリビングに戻ると、みんなの間にホッとした空気が生まれる。
灯りがこんなにありがたいなんて、生まれて初めて知った。
「とにかくさ、今夜はみんなで一緒にここですごそう。」
チアキが言う。
「そうだね。こんな大変な時にワガママ言ってケンカなんてできないもん。みんな、ガマンだよ」
ルイは「みんな」と言ったが、多分これはツグミ向けだろう。
ウララが私のロンTを引っ張り、小さな声で「ナツ、ありがとう」と言った。
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