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(10、11、12………12時か)
日付は変わったけど、私達はこのまま朝を迎えられないかもしれない。
突然、電源を切ったはずの無線機からオーケストラの演奏で「一週間」のメロディーが大きく鳴り響いた。
「きゃあああああ!」
「何、怖い!!」
『被粛清者、芹沢つぐみ。他7名の生存は以後24時間保障されるものとします。おめでとう』
さっきのボイスチェンジャー越しの不気味な声。
バアーン!と音がして、ツグミのいるワインセラーの隅にある、空の木棚が突然倒れた。「何、何?!」
チアキが非常灯で照らすと、空に見えた棚の裏側に大小の銀色の袋が入っている。
「これ……一人死んだらなんかくれる、っていう……ゲーム?」
サヤカが小さい声で誰にともなく聞いた。つないだ手をぎゅっと握ってくるので、短い爪が食い込んで少し痛い。
「まさか」
だけど、全然わけがわからない。
大きな方の銀色の袋から、シュー、という不吉な音が聞こえる。
爆弾?毒ガス?
「きゃあああああ!」
私達はまた悲鳴をあげた。誰がこんなことしてるのか知らないけど、助からないのなら穏やかに、眠るように死にたかった。
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