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みんなのすすり泣く声。
「ナツ、この非常灯でワインセラーの方を照らしてくれる?」
チアキが私に非常灯を渡して立ち上がった。
「どうする気?」
「やっぱり、ツグミ、仲間なのに放っておけない。連れてくる」
「先にチアキが死んじゃうよ……」
アイミが弱々しく止めた。
「でも、あんなところにツグミ一人だけじゃかわいそう」
姉御肌のチアキらしい。
「私も行く」
「ナツはここにみんなといて欲しいの。
私なら一人で大丈夫。息止めて行くから」
チアキは柔道部の主将だった。ツグミなら軽そうだし、一人でも連れてこれるかもしれないけど……
「無理しないでね」
「うん」
私はワインセラーの方に向かったチアキの進行方向を祈る思いで照らした。
チアキはワインセラーに降りると、なぜかあたりを見回していた。
そしてツグミの方ではなく、銀色の袋の方に近づいた。
「チアキ、危ないよ!」
「ねぇ!これ…見て」
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