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「私達、医者じゃないし。むやみに抗生剤なんかあげられないよ。
それに風邪薬なんて、症状を楽にするだけで風邪のウィルスをやっつけてくれるわけじゃないんだから」
アリサが答えた。
「そ、そうなの?」
「知らなかった…」
「私が小さい時かかってた小児科が昭和の遺物みたいなじいちゃん先生でさぁ。
風邪は美味いもん食って寝てんのが一番、って」
「アリサの周りって、お医者さんまで軍医みたい…」
真顔でアイミが呟くとみんなが吹き出す。
「あはは、アイミ、言い過ぎ」
まだみんなで笑えるのは嬉しい……。
だけど、ずいぶん静かになったな……と思うと少し寂しくなった。
「とにかくこれで、サヤカに水分と栄養をとらせてちゃんと休ませてあげられるね。…あとは、食料と水をなるべく優先的に回してあげよう」
アリサの説明で安心した私達はルイの言葉に頷いた。
きっとまた、頑張れる。
……そんな気がした瞬間、みんなと少し距離をとっていたウララが異を唱えた。
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