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「ナツぅう!」
アイミが泣きながら抱きついてきた。
「ナツ?」
「ホントにナツなの?」
他の子達は、驚きすぎて放心状態、という感じだ。スマホの明かりでも、涙の跡がぼんやり見えた。
「ナツ!ごめんね!ごめんね!
私、ナツに戻ってきて欲しがったの!
でもまさか、アリサが死ぬなんて……、私のせいかもしれない!どうしよう!」
「ちょ、ちょっと待って!アイミ、落ち着いて……。
ね、いったい何があったの?」
私はなるべくアイミを落ち着かせようと皆に支えられながらワインセラーを出た。
そして倉庫のフロアにシートを敷いてもらい、座った。
そこは何もかも、私が倒れる前と同じだった。
木箱、物資の袋、サヤカのテントと寝袋、無線機………その前にアリサがいない事以外は。
よく見たら倉庫の片隅に人数分の毛布とシートがまとめてある。
…これがアリサの命の代償?
確かに暗闇の上にこの「寒さ」は私達には危機的状況には違いなかったけど………。
だからといって、それが理由で皆がアリサを死なせたなんて……到底思えないし。
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