木曜日

5/8
前へ
/36ページ
次へ
ツグミは石段をしっかりした足取りでツカツカと上がってくると、ウララやサヤカと一緒にルイの前に仁王立ちになった。 「ねぇルイ、私のスマホ、返して」 「なっ……何のこと?」 チアキの分のスマホなら、さっきまで未使用だったが…… 奇しくもアリサが言い残した通り、アリサ以外の人間には「Survivor」のアプリは使えなくなってしまった。 それ以外は圏外のため、それこそ照明か時計代わりくらいしかここでは使えない。 「ツグミ、あのね…」 アイミが説明して取りなそうとした。私達の誰もがツグミの性格を知っている。 自分が死んでる間(?)にいつの間にかみんながお揃いのスマホを持っているので、少しへそを曲げているんだろう、くらいに思っていた。 こんな状況で持っていたって、ロクな使い方なんかできないのに。 しかし、ツグミはいきなりルイの横っ面を張り倒した。 私より長い時間、飲まず食わずで放置されていたというのに、すごい力だ。 他のメンバー同様、体力が残っていないルイは簡単に床に倒れた。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加