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「『明日のために、その1』みたいだね」
アイミが楽しい内緒話みたいに言った。
「何、それ?」
「『あしたのジョー』。うちのパパ、ファンなの」
「へぇー」
子供の頃、時々アイミんちのクローゼットに潜り込んで古い漫画を読み漁ってたことを懐かしく思い出した。
私はうっすら浮かんだ涙を拭いて、アリサの字を読み進めた。
早くこの異様な空間から抜け出して、『日常』に帰りたい。
ううん、帰ってみせる。
家族、友達、飢えや極限状態と無縁の世界、それぞれの新生活。
チアキ、アリサ、どこにいるかわからないけど本物のツグミ………の分まで。
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