金曜日 #2

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金曜日 #2

アリサの残したペンには、もう一つ仕掛けがあった。 書いた字を二度なぞると、普通の蛍光インクみたいに色が出て、暗い場所でも読めるのだ。 「これ、絶対ヒット商品になると思わない?」 アリサが真顔で力説してたのがつい昨日みたいだ……。 かなり長い間……、暗闇、寒さ、空腹……閉鎖的な空間での一歩間違えたらバラバラに崩れてしまいそうな気持ちのぶつかり合いなど……異常な緊張感にずっと耐えている。 なのにふっと、何事もなく平和だった時のことを思い出して、逃避モードに入りたくなる。
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