金曜日 #3

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しかし、つかの間であっても人心地ついている他の三人に改めてそれを言う気にはなれなかった。 そして、本物のツグミは相変わらず行方不明で……。 ウララが知りたくて待ちきれない、という感じでダンボール箱のビニールを剥がしにかかった。 「ちょ……ちょっと待って!!」 私は思わず叫んだ。 「開けちゃだめ!!」 なぜだかわからないけど…、とてつもなく不吉な予感がする。 「「「なんで?」」」 残りの三人は当然、怪訝な顔。 わざわざのビニールパッケージは本当にゴムボート運搬の防水のためだけだろうか? 唐突に、くの字に身体を折り曲げた血まみれのツグミがダンボール箱から出てくる場面を想像する。 根拠はない。 三人はそのまま、パッケージを破りダンボール箱を開封した。 「止めて!!」 私の悲鳴と三人の叫び声が同時だった。
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