金曜日 #3

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書いた字が見えない、という事を差し引いても、文章自体も何となくおかしいし。 『アリサがナツの身体を調べていたみたいだから、何となく予想はしてるだろうけど。 投票後、私は暗闇に紛れてスタンガンでナツの動きを封じ、自宅治療用の自動式注射器で薬液を注射した。 ……仮死状態になるだけ。 自分に、そう言い聞かせながら。 投票後、本当にナツに2票入っていたのには私も驚いた。 とにかく、スマホを二台持ってナツに投票していたのは私じゃない。 でも後で、私は騙されて本当にナツを死なせてしまったのかもしれない、と怖くなった。封筒や手紙や注射器は処分した。 燃やしたかったけど目立つし、マッチをもらうには物資の袋を持ってるアイミの許可が要る…… 頭を下げて根掘り葉掘り聞かれるのは絶対嫌。アイミって、何の権限があってあんなにエラそうなの? 全てがムカつくけど、どうしようもない。 だけどアイミに何度もお願いされたから、勇気を出して本当のことを書いた。 皆を助けるために、私が今、できることだから。 だから、ナツにお願い。 ホントに死なせる気はなかったの。それにこの事を知られて、ツグミにこれ以上大きな顔されたくない。 このことは絶対誰にも言わないで。手紙は読んだらすぐ燃やしてください』 そこでルイの手紙は終わっていた。 (………………) 何とも言えない、重苦しい感情が押し寄せる。
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