金曜日 #3

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しかし、私達の身にはいつまで経っても何事も起こらなかった。 ただでさえ底冷えのする地下室に、ただならない冷気が充満する。 「「「………………」」」 私達は恐る恐る身を起こして、辺りの様子をうかがった。 轟音の正体は、おびただしい量の水が流れ込む音のようだった。 「ダム…決壊したってニュースで言ってたよね?何日か前……」 いや、無線機でアリサが誰かに聞いたんだっけ………。 「いや!まだ死にたくない!」」 「ウララ、サヤカ、落ち着いて!」 ここに至って、意外なほど平常心なアイミに感心する。 ……いや、むしろ少し怖かった。 アイミが非常灯で辺りを照らす。 倉庫は無事だけど、ワインセラーは瓦礫や友の遺体を飲み込んで……あっという間に深い水の底だった。暗闇でどす黒く見える水が澱んで渦巻いている。おそらくあの色は、血とワインの混じった暗赤色に違いない。 このままでは、倉庫も数分後には水没するだろう。 「避難しなきゃ!階段の上!」 「イヤだ!チアキが死んだ階段なんて、縁起でもない!」 「死んだ子達が、私達を連れに来たのよ!どうせ助からない!」 「落ち着いてったら!諦めちゃダメ!」 私とアイミはパニクるウララとサヤカを引きずるようにして、リビングに続く階段の上段に座らせた。
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