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全ての演技を捨て、真顔に戻った彼は仮面そのもののように無表情だ。…それとも、これも演技?
「敢えて、と言うならこの世界の『救世主』とでも呼んでもらおうか。
そもそも絶対無二の存在たる『神』に名前など要るだろうか?」
「ふざけないで!!
なぜ、私達をこんな目に遭わせたの!?私達が何かあなたに悪い事をした?
みんなを返して!!」
私が叫び終わる間もなく、ウララがテーブルの上でラジオのスィッチを入れたようだった。
『日付代わりまして、水曜日の“ラジオ超深夜便”の時間です。まずは、気象情報から……』
「水曜日!?」
私は驚いた。ラジオのアナウンサーが繰り返し述べた今日の日付は、私達が土砂崩れから避難しようと地下室に降りた土曜日の深夜から3日しか経っていなかった。
こんなことって………
なぜ、どうして?
次に私の耳に飛び込んだのは、信じがたい報道だった。
「豪雨による被害が心配されていたJ県の**村では大雨洪水警報は昨夕解除となりました。
大きな被害はない模様ですが、引き続き警戒が必要です。
現地から、村の方々の声を……」
大雨洪水警報解除?
大きな被害なし?
土砂崩れで崩れた小林さんの家は?塞がれた道路は?
ダムの決壊で、村人は全員避難したんじゃなかったの……?私達を置いて……!
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