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「ラジオのニュース、スマホの日時、無線機の通信、振動や効果音……、それなりの音響機器や舞台装置は使ったけど基本は僕がここからパソコンで遠隔操作していた。
もちろん、カメラや盗聴器、スマホでの通信もチェックして君達の力関係を把握しながらね。」
暖炉の明かりだけで、暗いリビングに存在しているものがだいぶ見渡せた。
サイドテーブルやサイドボードの上に、何十というパソコンや計器類がコードで繋がれ、セットされていた。
「それでも君達がもう少しお利口さんで、最初から僕の用意した非常物資をきちんと地下室に持ち込んでくれたら、一週間ゲームが続けられたのに、まともに守ったのはウララだけだったね……
まあそれも想定の範囲内だったし、短期間で興味深いデータが得られたのは悪くない」
「私じゃない。アリサの方がずっと冷静だった……つるむの嫌いなクセに、変に義理堅いとこあるから、本心から私達を助けたかったんだと思う」
ウララがうつむいて悔しそうに言った。
正味3日、とは言え本当に苦しかった。
生き延びられたのはウララとアリサの物資のおかげ、というのは確かだろう。
「確かに、アリサって子は、君達なんかより遥かに頭がいいよ。
筆談でメンバーに連絡したりルイって子に手紙書かせた時は、盲点をつかれたと思ったけど、そのまま泳がせたら自滅した。僕の敵じゃなかった」
さっきから、「救済者」に対する恐怖よりも怒りがこみ上げて仕方がない。
「あなたは一体何者なの?何が目的だったの?なぜ私達がこんな目に遭わなければいけなかったの!?」
「全部、ツグミのせいよ」
昂然と言い放ったのは、意外にも、私と一緒に「救済者」を弾劾しているかのように見えたウララだった。
まさか…………
「ウララが…内通者!?」
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