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「そのサイトの管理人……『救世主』様だけが、わかってくれた。私の無限の可能性、才能。ツグミやあなた達の何倍も特別な存在なんだってこと」
ウララはうっとりと隣の「殺人者」を見つめた。
「ウララ…、あんたが何を言いたいのか、私やっぱりよくわからない!
でも、ウララは何かを間違えてるよ。
ツグミと同じアイドルになりたいって素直に言ってたら、一緒に頑張ろう、って言ってくれたかもしれないじゃない。
打ち明けてくれたら、私達だって…」
涙を流しながら痛みをこらえてやっと半身を起こした私の顔面に、ウララの蹴りが跳んできた。
「安っぽい!!」
反動で、私はまた倒れた。
涙と鼻血でむせかえって、起き上がれない。
ウララ……一体、どうしちゃったの?
ネット。閉じられた空間。人知れず抱えた心の闇を吐露する人間の隙間に、闇を正当化させ増幅させるような甘い言葉。
「洗脳」の二文字が、私の脳裏に浮かんだ。
どんな理由があろうと、殺人者は殺人者。ウララだって騙されて利用されてるだけに決まってる。
「ウララお願い、目を醒まして!」
私は叫びながら、痛む身体を引きずって、やっとウララの足首を掴んだ。
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