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また、蹴り飛ばされるかもしれない。いや、このまま蹴り殺されたとしてもこれだけはウララに言っておかなきゃいけない。
「ウララ!よく考えて!こんな方法であなたが成功したって、友達を裏切って死に追いやった事実には変わりはないの!
人の命を踏みつけにして夢を叶えたとして、幸せだと言える?」
しかし、ウララからの返事はなかった。
私はウララを見上げ、ぎょっとした。
顔には表情も生気もなく、目を見開いたまま、口元から血を流している。
私が足首を掴んでいたため、そのまま崩れるように私の上に倒れ込んで来た。
「ウララ!どうしたの!?しっかりして!!」
ウララの瞳孔は開き、呼吸も脈も既に止まっていた。
「きゃああああああ!!!」
なぜ急にウララが!?もしかして………
毒!?
そうだ、私と一緒に飲んでいたホットミルクだ。
熱いのをガマンして口をつけていたら私もきっと
…………死…………
どす黒い恐怖と怒りが胸の中で波のように渦巻いていた。
「女どうしのケンカってのはキャンキャン吠えるだけで生産性がないから嫌いだ」
男がくるりときびすを返してリビングから出て行こうとしていた。
「待って!!!」
私は、トレーナーの袖で血と涙を拭った……死んだウララか、他の誰かの私物かもしれない、とぼんやり思った。
私はウララを床に横たえ、手でまぶたを閉じた。
痛みをこらえて立ち上がると、正体不明の「彼」を追いかける。「彼」が全ての元凶なのだから。
「待ちなさいよ!!」
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