21人が本棚に入れています
本棚に追加
その場所も真っ暗で、一体どこなのかは最初はわからなかった。地下室と違い、どこかに火の気があって、暖気が漂って来る。
思わずそちらに目をやると、暖炉が赤々と燃えていた。
暗闇の中にいた私には大きな太陽を直接見てしまったみたいに眩しかった。
ウララがどこからか持って来たバスタオルで私の髪や身体を拭いてくれ、火の側の椅子に座らせてくれた。
私はまだ目が慣れないため、タオルで目を覆った。
「ウララ、どうやって助かったの?アイミは…?」
「……ごめん、……わからない。
私、わけわからないうちに、偶然抜け道を見つけてこの場所にたどり着いたの。……ごめん、私だけ」
「ううん、ウララだけでも助かってくれて嬉しい」
地下にいた時、ちょっと嫌な子だと思ってしまってた。ごめん。助けてくれたのに。
そして、“サヤカは?”といつ聞かれるか……。私は内心びくびくしていた。
サヤカが私達を裏切っていたことをどう話そう……。
それに、私は結果的にサヤカを見捨ててしまった。
「シャワー入って、着替えるといいよ。何か適当に探しててくるから」
シャワー?着替え?
しかも…なんとなく、暖炉と椅子に見覚えが。
「………ここ、ど…」
ううん、私はこの場所を知っている。
質問し終わらないうちに暖炉の脇でアンティークの振り子時計が鳴った。
ボーン、ボーン、ボーン、ボーン、ボーン…………
最初のコメントを投稿しよう!