26人が本棚に入れています
本棚に追加
「確かにね。しかし今の時代、高学歴で手に職もあるホームレス、なんて珍しくもなんともないんだよ。
ネットを少し探すと中には携帯や口座……自分の名義を貸してまで食いつめてる人間の個人情報に容易に辿り着く。
顔も知らない彼らにランダムに求人のメールを送ったり、あるいは必要な技術や作業ごとに求人サイトを作っておく。引っかかった連中からさらに使えるスペックの人間を精査して、日にちと作業グループを分け、専門的な仕事を依頼する。要はバーベキュー要員と同じだよ。
音響やカメラの配線、地下室の改修、機器類や舞台装置、換気装置……ああ、それと無線機。
求人の名目は、暇な小金持ち相手のミステリーツアー用のセット作り。僕はイベント企画会社のプロデューサー兼社長、と名乗る。もちろん偽名でね。
雇った連中に関してはそもそも横の繋がりもないしお互い本名も知らないから、相場に上乗せした報酬で疑問も持たずに再びバラバラになって忘れてくれる……この場所で後日惨劇が起きても、不幸な事故が偶然起きたとしか思わないだろう」
最初のコメントを投稿しよう!