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雷が遠ざかる気配はない。
外から閃光と耳をつんざくような爆音が同時に私たちを襲う。
むしろ、ますます荒天の中に置かれているようだ。
それでも私は恐怖を感じなかった。
「私たちが寝ていた時、チアキだけが起きて階段を登ったのはなぜ?」
あの時、いつの間にか差し入れられていた医療用品。チアキはサヤカのために躊躇することなくそれを取りに行き、階段から転落死した。
「さっき地下室のドアの仕組みは見ただろう。君達が入った後は、内側からは決して開かないが外側からは出入りできる」
土砂崩れで開かないドアもやはり思い込みだった。私達は巧妙に操られ、監禁されていただけ。
「僕は君達が寝静まった後、病人の手当てと感染防止に必要となるであろう物資を差し入れた。
段ボールの中に体温計があっただろう。あれは、タイマー式にある音が鳴る仕組みになっていた。チアキだけがそれに気づき、階段を登った」
「チアキだけに聞こえた……音?」
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