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「そう。君達が推理した通り、階段や鉄柵、ワインセラーの石段も僕が操作できるようになっていた。
チアキが気づなかなった場合、あるいは怖じ気づいて階段を登れなかった場合の対策も数パターン考えてあった。
アリサの場合も同様だよ。…パターンが見抜けているのなら、もっと用心するかと思ったが。
想定外の出来事、というものに案外人間は脆いものだとわかったよ……頭脳に自信のある者ほど、ね」
アリサが見たのはきっと、ツグミの姿だ。
ワインセラーの抜け道を通り、わざとアリサにだけ見えそうな場所で立つ。驚いたアリサは、階段の幅や鉄柵の細工には気づかず駆け寄った………可哀想なアリサ……。
「ツグミの役をやっていた子は、誰なの?」
仕草も言動も声も、ツグミそのもの。ツグミに対する罪悪感と正体不明の死と向き合う恐怖心、そして暗闇。
六年間付き合った私たちも、騙されていた。主犯の「彼」と繋がっていた幼なじみのウララは彼女に合わせて演技をしていたのだろうか。
正常な精神状態ではなかった私達。
全員でツグミの死を確認しながら、「ツグミの生き返り」というあり得ない現象を受け入れ、すっかり信じてしまった。
「もしかしたら彼女もツグミの一族なの?それなら、あなたは親族でもあった仲間を殺したことになる!」
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