全ての謎 #2

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ツグミのフリをして私たちを騙した子に同情するのは複雑だけど…… それでも、こんな異常な計画と出くわさなければ、彼女は必死に押し殺して生きていただろう……恨みや妬み、諦めきれなかった夢を。 「あなたは人の夢や色々な感情まで利用して、道具のように殺したのね!! それとも、私達が彼女が偽物と気づかなかったら、まだ利用し続けていたの!?」 「君たちに見抜かれた時点で既に利用価値がないのはわかってたよ。 それに僕の壮大な計画は長期に渡る。 芹澤夫妻の元に不完全な偽物を送り込んでぼろを出されるより、ツグミの死を知って内側から壊れてもらった方が効率はいいからね」 「…………」 私は怒りと嫌悪でただ震えることしかできなかった。彼女を恨みたくても、また、悼みたくても、「彼」のせいで彼女の本当の名を知ることもできない。 「料理で私達を眠らせたのはなぜ。あの時、全員殺すこともできたのに」 「毒物は検出されるから面倒だ。第一、ゲームだもの。最後までルールは守らなくてはね。」 「…………」 「それに人間は適応の生物、とも言われているからね。さすがに3日間を一週間、と思い込ませるのは途中で誤魔化さないとキツい」 腹立たしいことだが、暗闇の中で私達はスマホの時計と「救済者」のアナウンスを頼りに日時を計るようになっていた。 そんなものいくらでも操作できる、ということに気づくべきだったのに。
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