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私ははっとした。
朦朧とする意識の中で動いていた、影。
「あなたは……ウララだけは眠らせなかったのね。なぜ?どうやって…?」
例えば睡眠薬の入っていない料理の皿などに目立たないように目印をつけ、メールで知らせることまではできるだろう。
しかし、必ずウララが先にその料理を手にすることができるとは限らない。
「料理の件だが、ご推察通りウララの物には薬を混ぜていなかった。
死と隣り合わせの極限状態、飢えと渇きの中。
そんなところに料理が運ばれてくれば最初、君達は警戒する。しかし飢えには勝てない。
君達は我先に料理に手を伸ばしたつもりだろうが、普段弱者と見なしているウララとサヤカに何かを譲る癖が無意識についている。
ウララが自分用の料理を選ぶ確率は1/4、ウララとサヤカなら1/2、そしてサヤカもウララに対して哀れみに近い変なプライドがある。
……“マジシャンズ・セレクト”などと呼ぶまでもない……各々のちょっとした心理を利用した、簡単な場所取りゲームだっただけ」
「…………」
「ウララを眠らせなかったのは……
君達が寒さで弱るとゲームの続行が不可能になるからね。
君達に気づかれないよう、毛布を掛けたりあのドアからわずかに暖気を入れさせた……。
そして、最後の仕上げについて、再度念を押しておく必要があった」
ゲームの、最後の仕上げ。
「アイミを…殺させる…ため…なのね…?」
そして、ウララは…
いつも自分のことより、みんなのことを考えてくれてたアイミを。
自分の、身勝手な夢……いや、欲のために、手に掛けた。
「うわあああああああ!!!!」
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