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激しい雷雨と強風。
床の下…地面の底から、不吉な振動がだんだん近づいてくる。
…私の頭の中では耳鳴りのように微かなサイレンの音が聞こえていた…幻聴だろうか?
次の瞬間、私の耳に聞こえたのは
「うわあああああ!」
意外な人物の叫び声だった。
揺れる地面、耳が痛くなるほどのありとあらゆる轟音。
歪む視界。二階の通路で悲鳴をあげたきり呆然と頭を抱えて立ちすくむ「彼」の姿が小さく映る。
ドン、ドン、と爆発音がして窓、壁、床下……あらゆる場所から土砂が流れ込み、古いながらもあれほど堅牢に見えた洋館の天井や壁が次々に崩れていく。
「バカな…!そんなバカな!!」
この惨事は、「彼」の計算外だったのか!?
私は力を失ったまま再び瓦礫混じりの濁流に呑まれ、崩れていく二階の通路をなすすべもなく逃げまどう敵の姿………
それが、生きた「彼」を見た最後だった。
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