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喉が……痛い
私の方は、と言えば、屋敷の扉、窓、床下…あらゆる場所から流れ込んできた瓦礫と濁流に再び飲み込まれていた。
まだ悲鳴を上げる力が残っているのが不思議だ。それほど消耗し切った私には抗う術もない。
耳が麻痺しそうなほどの凄まじい轟音は、洋館の崩れる音か。
寒い、冷たい、痛い、辛い………
そんな感覚を通り越して、ただひたすら苦しい。
今度こそ、死ぬ。
真っ白に薄れゆく意識の中で、私ははっきりとそう思った。
人は、断末魔の叫びを自分で聞くことはできない。
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