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私が次に目を醒ましたのは、病院の集中治療室のベッドの上だった。
「ナツ!」
「ナツぅうう!」
暗い部屋に白い天井、白いベッド。白い包帯だらけの自分の身体に繋がれたいくつもの管、薬品類、機械類。
それらの次に私の視界に入って来たのは、病院の人に呼ばれてくしゃくしゃの泣き顔で飛び込んできたパパとママだった。
…なんだか、一年ぶりくらいに会うような気がした。
・・・・・・・・・・・・・
意識を取り戻して数日後、私は集中治療室から一般病棟の個室に移った。
土砂災害で瓦礫の中に長時間閉じ込められていたこと、衰弱が激しかったことなどから、目や身体の負担を考えて、病室は暗い状態からすこしづつ明るさに慣れさせる、とのことだった。
代わる代わる私に付き添うパパとママは私の世話をしたり物を取ったりするのに苦労していたが、
私が生きて戻って来たからそんなこと何でもない、とよく言って笑っていた。
家族って、ありがたい。
今の病室に移ってさらに二、三日経ったある日。
二十代後半くらいだろうか、初対面のスーツ姿の男女が私の病室を訪ねて来た。
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