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「僕は、この日のために…いや、いずれこの世界で立つべき位置のために必要なスキルは独学で叩き込んでいた。コンピューターやネット関係もその一つだ。
芹澤つぐみの交友関係から、君達の個人情報もだいたい調べあげてある。
君達から普段チャットで使っているSNSのくだらないやり取りから、グループ内の力関係やそれぞれの行動パターン、あとそれぞれのメンツの隠れた本音なんかもね」
くだらない、とは何だ。
仲間うちだけの会話だからこそ、かなりプライベートな話もしてるのに。
だいたい、無断で私達の個人情報を集めたってどういうこと!?
「それって…ハッキング!!ひどい!犯罪じゃない!」
相手は大量殺人犯。今更何を言っても仕方ないのかもしれない。
だが、十代の女の子にとって、知らないうちに心の中を覗き見られていたというのは、許しておけない事実だ。
「今の時代、『個人情報』が守られてるなんて幻想だよ。
僕に言わせると、あのレベルのSNSのセキュリティーなんて、まずあってないようなものだしね」
軽く笑って流した「彼」に憎悪と怒りが増すばかりだ。
「近藤麗は、以前、ツグミが家族で別荘を訪れた時に一緒に連れてきたことがあってね」
……落ち着け……。
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