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「生まれながらのお嬢様体質のツグミとは正反対で大人しくて従順そうな子だったけど、
ウララの言動には何か鬱屈したものを感じとっていた。
僕は専攻の心理学に関しても独学で既にそこいらの研究者や精神科医レベルを超えているんだが……そんなことよりも、直感的に似た者どうしだとわかったのかもしれないね
他者によって、本来の自分の意志と反する道を理不尽に歩かされている者どうし、とでも言おうか。
ウララが自分で言うほど才能があるかなんて僕にもわからないけど。
ツグミの母が芸能界を裏で牛耳ってる以上、夢を持ってもいずれ潰されるのは目に見えてたしね」
「彼」の言葉は協力者でありながら死に追いやったウララへのわずかな共感、というより冷静に分析対象としてしか見ていない冷酷さが垣間見え、嫌悪感しか感じなかった。
とは言え、みんなを裏切ったウララもやっぱり許せなくて何もかもが受け入れられない。
例えばもし他の皆の分まで生きろ、と誰かに言われたとしても、私には無理かもしれない。悲しみと喪失感と怒り……ありとあらゆるマイナスの感情に押し潰されそうだ。
だけど。
私だけでも今、真実を知らなければ。
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