一章 貧乏少年の不幸

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「あれ?蒼、一年主席の美少女にデートに誘われたんじゃなかったっけ?」 「デートじゃねぇよ、バカ。さっさとてめぇは勉強でもしてろ。万年赤点が。」 クラスに戻るなり、俺に絡んできたのは数少ない知り合いの一人、七海志士。 ボサボサの茶髪とだらしなく着こなした制服と言った格好で、イケメンだ。 「ひでぇな、おい。俺は勉強ではなく武術で生きていくんだ。勉強なんていらないのさ」 「その努力を勉強にも生かせたらいいのにな」 志士は万年赤点にも関わらず、進級出来ているのは武術の腕が突出していることだ。 学園では第三位の実力者であることを一年生から維持していることが進級出来ている理由だ。 「午後は確かあれの授業だぜ。楽しみだぜ~」 「あれ?」 「"ペルソナ"の実習だよ。忘れちまったのか?」 ドキン! 「ああ、思い出した。でも持っている俺達にとっちゃあ退屈じゃねぇか?」 「まあな。でも今までの剣振るうだけよりはましだぜ」 「ははっ、そうだな」 俺は内心、汗をかきながらどうするか悩んでいた。
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