一章 貧乏少年の不幸

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「…………」 「どした?蒼?着けねぇのか。」 先生から配られた新品のペルソナを持って俺は固まっていた。 ペルソナは使えば使うほど白に戻りにくくなり、いずれは被っていなくても被った時と同じ色や模様になる。 俺のペルソナはその状態であるため、忘れてしまったと言い訳を言って新品のペルソナを貰った。 三つ目作るのもいいが、それに失敗して隠しているやつが出てきたらもうとんでもないことになる。 基本的にペルソナは一人一つがいいのだが。 「おらっ!」 「へぶっ!?」 いきなり志士が俺の腕を掴み、握られていたペルソナを無理矢理被せられた。 鏡を見ないと分からないが、髪が伸びている感覚や肉体が嫌な感じで動いていることが分かる。 数分すると嫌な感覚はなくなった。 変化か終わったことを確認して、目の前の志士を見ると口を開けてポカーンとしていた。 「おい、志士。」 体を揺らしてやるとすぐに戻ったらしい。 志士は相変わらず何か疑わしい目で俺を見ている。 「どうした?」 志士の答えは意外すぎるものだった。 「お前―誰だ?」
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