一章 貧乏少年の不幸

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「ああん?どういう―」 俺は自分の声に違和感を覚え、自分の体を見てみる。 体つきは華奢になっているが、腹を触ってみると硬い腹筋が分かる。 髪は元々の青みがかった銀髪が腰まで伸び、髪色も深海のような深い青色になっていた。 顔は仮面で隠されているが、声が高くなっている。 ここまで確認して、思う。 かなり女っぽくなっていると。 とりあえず恐れていた状況から回避したことを安心した。 「おい、志士。聞きたいことがあるんだが」 「な、何だ蒼?」 慌てた様子の志士を一瞥してから聞いてみた。 「今の俺、どう見える?」 「美少女」 即答で返されてしまった。 でも自分でもそう思ってしまったしな。 しょうがない。 仮面を外すと再び抜けるような嫌な感覚 がしたが、元に戻ったことを確認すると安心する。 俺はこのペルソナを懐にしまいこみ、授業を何とか乗りきった。
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