一章 貧乏少年の不幸

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放課後― 俺は終わりのHRが終わるなり、ベランダから飛び降り校門まで急いで向かった。 ベランダから登下校する人は決して珍しいことではないので誰からも視線を送られることはなかった。 校門に着くと、そこには夕焼けで顔を照らされた少女、神道灯がいた。 「待ちましたよ」 「しょうがねぇだろ。そもそも付き合ってやるんだからそこは妥協してくれ」 「まあ、とりあえず付いてきて下さい。すぐに着きますから」 歩き始めた神道の後ろを俺は適当な距離をとって追いかける。 無言のまま歩き続ける俺と神道だが、俺は後ろからジッと神道を見ていた。 無駄のない、そして俺を警戒している動きを見れば実力は分かる。 主席入学と言われた実力は持っていそうだ。 俺は観察し終わると呑気に神道の家に着くまで歩き始めた。
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