一章 貧乏少年の不幸

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………… 私、神道灯は冷や汗をかいていた。 理由は後ろを歩いている竜胆先輩のせいだ。 私を観察するような視線に襲われるのは初めてではないが、竜胆先輩のは異質だ。 竜胆先輩、名前は竜胆蒼。 四年生にして学園第一位の実力の持ち主にして学園一のサボり魔。 17歳と私と同じ歳で四年生でいる異例でもある。 また神島においては表に出ないものの、一人で奥地から帰還するなどの実績も持つ素性の知れないレヴァレントである。 私は動揺が見えないように押し殺しながら考える。 歩いている最中に気付いたが、竜胆先輩は足音がしない。 出来るのは裏稼業に関わっているからか。 しかし竜胆先輩は貧乏と聞いたことがある。 それなら違う。 それならば何故だ? 何故あの頃の竜胆先輩とは違う? 悶々として考えているうちに自分の家が見えてきてしまった。
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