一章 貧乏少年の不幸

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「広いな、おい。さすが特権階級の家だ。」 「……当たり前ですよ」 俺は神道のデカイ家に驚きながらも見失うことのないように後ろから付いていく。 玄関に通され、長い廊下を歩いているが誰もいる気配がしない。 神道に聞こうと思ったがさっさと終わらせて帰りたいので聞かなかった。 綺麗に整えられた庭園を見ながらも神道の案内で武道館に向かう。 「着きましたよ」 神道が重々しい木のドアを開けると、そこには完璧な武道場があった。 学園に劣らぬ広さだ。 「これなら十分ぐらいの広さだな」 近くにあった太い木の柱を触りながら呟く。 「では竜胆先輩、早速やりましょう」 神道はいつの間にか奥に立っていた。 その手にはペルソナが握られていた。 赤く染まり頬に剣がクロスした模様が小さくあった。 「そうだな」 俺と神道もどちらも制服姿だが、ペルソナを被ってしまえば大丈夫だ。 「楽しませてくださいよ」 そう言い、神道はペルソナを被った。
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