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「竜胆先輩ですか?」
「ああ、そうだけど」
紺のブレザーに紺よりも薄い色をしたスカート。
黒髪に端正な顔立ちと細身の身体。
ネクタイが白と見ると一年生だ。
ちなみに四年生は赤。
クラスメイトの視線が集まるなか、少女は言葉を発した。
「ちょっと、付き合ってくれませんか?」
「は?」
一瞬空気が凍った後、誰かしらの女子が上げた悲鳴でざわつき始めた。
女子は好奇の視線を、男子は憎らしげな視線を送ってくる。
俺が顔をしかめたのを見たのか少女は続けて言う。
「ここはうるさいですね。屋上に行きましょう」
「でも授業が―」
「先輩はさっき来たばかりでしょう。今さらですよ」
「はいはい、分かったよ」
言い分が無くなった俺は再びベランダに出ると屋上に向かってジャンプした。
有刺鉄線の柵を難なく越えて、振り向くと少女も難なく越えて来た。
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