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…たった今、魔王を惨殺し、顔を魔王の血で紅く染めている青年は、少しの間静かに笑い、ゆっくりと辺りを見渡した…。
目に映る全てのモノが、赤、紅、緋、一色に染まっている…!
よく見ると、その紅、一色に染まってしまった理由がよく分かるのだが、凄惨で惨殺されてしまった死体達を見ると、理由を話す気も無くなってしまう…。
だが、まぁ……この青年の残忍さが、良く分かる事が出来たと思う…。
そして、青年は真っ黒なマントを翻し、その場を去ろうとする……が、突然その青年は足を止めた…。
「……なんだ…これは…?」
青年は誰に聞くのでもなく、一人で小さく呟いた。
どうやら、青年にも理解出来ない代物らしい……その理解出来ない代物は、何も言わずに青年の足元で、蒼く光っていた。
「…文字…か?」
もう一度、一人で小さく呟く青年。
その青年の現在の表情は年相応で、少しのあどけなさを残したものだったが……もう一度、足元が蒼く光った事により、冷淡な表情に変わった。
……それは、青年が真剣で有る事が丸わかりとなる、表情だった。
しかし、その青年の表情はもう1段階、変化する事となる…。
その青年の足元の蒼く光った何かを中心に、空間が歪み始めたからだ……!
青年は焦りを覚え、ここから逃げ出そうと試みる……が、しかしそれは不可能に近く、青年の現在の位置、蒼く光った何かを黒いブーツで踏んでいる状態から動けないでいたのだ…!
青年は更に焦り、その何かを殴ろうとするが、腕すら動かす事が出来ない。
そして、青年は……とてつもない轟音と共に眩い光に包まれ、空間が歪み、揺れ…!
突如として、その場から消えた……。
あるのは、揺れ動く惨殺された死体と、何かを知っている様に蒼く光る”何か”だった……。
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