第1話

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先程までの轟音、眩い光、空間の歪み、揺れ、どれもが落ち着いてきたかと思うと、青年は立ったままパチリと目を開いた。 その最初に、青年の目に映ったのは、ストレスでだろうか、頭の至る所に10円……いや、500円玉の大きさでポツリポツリと、ハゲている人物だった。 その人物は真っ黒なローブを着ており、顔はやはりストレスだろうか、しわくちゃにした紙の様で、目は血走り、口は鶏の様に尖らせ、体は小刻みに震えている。 そして、青年より先に口を開いた。 「……やっ…やった!やったぞ!遂に僕の能力で召喚獣を召喚する事に成功したんだっ!」 ……青年はようやく物事の顛末を理解し、大いに呆れた。 つまり、こいつ個人のせいで自身の危機に落ち入れそうとなったのだから。 それも、全く知らない貧弱そうな人間に。 だが、しかし、青年は呆れると同時に考えた、この人間が俺を召喚したのだから、こいつを殺せば元居た場所に戻れるんじゃないのか?と……。 「試してみるか……。」 青年はそう静かに呟き、試しに小さく腕を動かした…。 青年の腕が小さく動いている事から、さっきの蒼く光った”何か”は、今は効果を成して無いように思える。 次に、青年は足の指を動かしてみた、足の指なら小さく動かさなくても、あの人間には気付かれないと思ったからだ。 その青年の表情から察するに、やはり動いたようで、まだ蒼く光っているが、その”何か”は、やはり今は効果を成していないように思える。 青年は、ニコリと笑い、一瞬にしてその人間の懐に入り腕力だけで、首をへし折った。 バキゴキッという、何とも言えない音が、その人間から鳴ったので、本当に首の骨を折ったのだろう。 その結果、その人間は青年に蹴られる事によって後ろに倒れ、人の穴という穴から体液を大量に垂れ流し、少し痙攣した後に、ピクリとも動かなくなった…。 その人間は、青年の一撃によって死んだのだ……。
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