結城 日向

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私は昔から男子が苦手で、他の女子のように上手くコミュニケーションが取れない。 少し話すだけでも緊張というか、怖くて声が震えて…… もしかして男性恐怖症なのかな?とまで思ってしまう。 いつも女の子達の後ろに隠れる私に、男子も誰一人として喋りかけてこないんだ。 勿論、結城君も。 “そんなんじゃ、いつまで経っても彼氏なんか出来ないよ?” 皆に口を揃えて言ってくるけど、こればかりはどうしようもなくて…… 美崎さんみたいに誰とでも分け隔てなく喋りたいけど、どうしても緊張しちゃって無理なんだ。 クラスの男子が皆、私の事煙たがってるのわかるだけに……チクチク胸が痛む。 『夕美ってば、また授業中空見てボーッとしたでしょ~!』 ……う、バレたか。 『まったくもうっ、ほら!早く帰る準備して行くわよ?』 アーちゃんに急かされ慌てて鞄に授業用具を押し込んでいると、教室の扉付近から通りの良い男子の声がー…… 『朱美!』 あ……アーちゃんの彼氏の晴紀君だ。 嬉しげに頬を緩め、彼氏の元まで駆け出すアーちゃん。 今日は一緒に帰るの無理かな?
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