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『夕美!今日、晴紀君の部活がないんだって…だからー…』
晴紀君はバスケ部のエース。
時々、アーちゃんに誘われ練習試合観に行ったりしてるけど……
『うん!いいよいいよっ、折角なんだからアーちゃんは晴紀君と一緒に帰りなよ!』
私の事は全然気にする必要ないから!
お邪魔ムシはそそくさ退散するのが一番!!
明るく微笑んでみせると、優しいアーちゃんは私の腕を鷲掴んだ。
『いや!そうじゃなくてさっ、夕美も一緒に三人で帰ろ!?ねっ、!晴紀君もいいでしょ!?』
『……』
話を振られた晴紀君はおもむろに困った顔を見せた。
うん、そりゃそうだよね……
たとえ彼女の親友でも、私、晴紀君に丸っきり喋りかけないし……
居心地悪いよね?
『あ、大変!私っ、職員室行かなくちゃ!宿題の提出してなかった!』
自分でも白々しいと思いつつ、わざと大声を張り上げて手を叩く。
『じゃあバイバイ!また明日ね!』
『ちょっ、夕美!?』
鞄を抱き締め、ダッシュで二人の間を駆け抜ける……
背後から私を呼ぶアーちゃんの声が聞こえたけど、振り返らずに生徒達の波に紛れ込んだ。
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