氷の殺人鬼

1/4
前へ
/38ページ
次へ

氷の殺人鬼

「初めまして。ブランシェ・アルヌールと申します」 今年十七歳になる少女、ブランシェはこの家―、ヴィダール家に仕えることになっていた。 両親を流行り病で亡くし、身寄りがないところを公爵家である、ヴィダール家に引き取られたのだ………と、表向きになっている。 彼女の正体は、ヴィダール家と政治的に敵対している、ヌフシャトー家の殺人メイドである。 幼い頃からヌフシャトー家で殺人術を磨かれた彼女は、格闘技や棒術は勿論、合気道や銃器の扱いなども達人以上だ。 そんな彼女の二つ名は、『氷の殺人鬼』である。ブランシェが慈悲もなく感情もなく、対象者を確実に殺すからだ。 今回、なぜそんなブランシェが、敵の懐に飛び込むことになったのか。 それは、この国の王が殺人を禁じたからだった。 それまでは出かけの対象者を襲えばよかった。しかし、政治も知らない王のせいで、ヌフシャトー家はブランシェを使った、暗殺を目論むしかなくなったのである。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加