ある日の散策

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  老人の放つ言葉には不思議な重みがあった。  一語一語が、残された命を削りつつ、腹の底から絞り出しているような、これまで生きながらえてきた精神が反映されているような、力強さと深みが嫌味を含めずに合致していた。  あるいは聞く者をして、静聴たらしめる威厳とでも言うべきか!     僕は返答に窮した。この老人の凄みに言葉を返すことが許されていないような気がした。  
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