プロローグ 「俺は、認めない」

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"アイツ"は男で…俺も、男。 しかも、5歳も年下で生意気で…嫌なヤツ。 『ね、篶斗。 …篶斗はさ、嘘吐く時は下向くんだよ』 そんなのは、全部全部嘘に決まってる。 だから、認めない。 "アイツ"にドキドキしてることも、もしかしたら好きなのかもしれない、ということも。 それも、全部嘘に決まってるはずだから。 そう。 俺は認めない…認めたくない。 だから…。 『篶斗、好きだよ。 …これからも、今までも、ずっと好きだ』 だから、俺のことを見つめないでくれ。 愛を囁かないでくれ。 …うっかり、危ない恋も"お前となら"って思ってしまうから。 『なんで、認めないの? 篶斗も僕のこと…』 "アイツ"は、何かを言いかけた。 たぶん、俺自身も本当は解ってることを。 それでも、俺は認めない。 これ以上、お前のことで喜んだり、落ち込んだりしたくないんだ。 でも、さ。 ―――――『俺も好きだ、お前のこと…』 …なんて、言えるまで時間が欲しいんだよ。 …"そらる"。
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