第一章 迷える追跡者

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このまえ路地に入って面倒なことになったし、細い路地にはいかない様にだけは意識して歩く。 そんな怪しいところで蜜菜がバイトしてるとも思えないし。 ……さすがにバイト先はまともだよね。 まともだったよね? 「せめてここらへんの地図を覚えとけばよかったかな……」 覚えるの自体は苦手ではないはずなのに、こんなにたくさんの人がいて、場所があって、いろんなことが起きて何から覚えればいいのかわからない。 覚えるのめんどくさいし……。 そんな感じだから地図も人もほとんど記憶していなかった。 うー……と声をもらして立ち止まる。 いつのまに人のほとんどいないとこに入ってしまったらしい。 細い路地に行かないようにしてたのにどうしてだろうか、とは思うが仕方ない。 これくらいはよくあることだし。 ……とりあえずもどろう、どっちに戻ればいいのか忘れたけど。 仕方なくあたりを見回す。 今日で何回目だろ、キョロキョロするのは。 そう思ったとき人影が少し離れたところの通路を横切った。
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