第一章 迷える追跡者

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よし、とりあえず聞いてみよう。 怪しい人だったらまあ、どうにかなるでしょう、その時はその時ってことで。 「あのーー、すみませんーーー」 手をメガホンのようにして呼びかけるとその人はめんどくさそうに振り向いて何? とだけ言った。 うん、たぶん知らない人。 とりあえず男子だけど、これと言って目立つものはない、かな。 ちょっと目つき悪いけど……。 不安はあるもののここじゃまともに話せないので、普段通りの話し方で声が届く距離まで近づいて。 「えっと……妾は迷子なので、商店街の方向を教えてほしいんだけど……。あ、あと、姫璃さんみませんでしたか? それと隠れ家って喫茶店どこにあるか知らないかな……?」 ぎこちない言い方。 自分でもそう思う程度には不自然だが、幸い聞き取れはしたらしい 「あー……めんどくせぇ……」 これ、あやまったほうがいいのかな。 わたしの悩みをあたりまえだがスルーして、頭をかくと少年は再び言葉をつづける。 「まず、商店街は俺が来た方。で……隠れ家って確かあの書類嫌いのとこだろ。どこだったか。こないだ面白い噂聞いたんだが、たしか、森の中じゃなかったか……大きな木があるから商店街からでもわかる。姫璃ってやつは知らないな」
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