第一章 迷える追跡者

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「……多いな」 長月の実家にいた頃は珠莉は家にいさえすればいいと言われていたのに……。 机の上に綺麗に積みあがった書類。 それを、わたしはボーッと眺める。 事務長という仕事でしなくてはならないことが、内容をまとめた書類をつくったり、聞いた話をまとめたりであるから、動き回らなければならないほかの役職に比べればはるかに楽なのであろう。 書類を作らなくてはならないのは裁判が必要な時と、生徒会がかかわる時くらいだ。 ほかは処理してくれる人がいるから……誰か忘れたけど。 だが、なんでこんなに溜まってしまったのか……みているだけで疲れそうな量である。 一番下にあった一枚を棚から引っ張り出してとりあえず目を通してみるものの 「長い……疲れた」 こういうことがあって、こういう問題になりましたよ。 関わった人は誰々のようです、くらいなら楽なのに。 ……それを作ったり、訂正するのががわたしの仕事か。 関係者の話や問題ごとの起きた時刻なんかがメモされているのだが、とりあえずまとめましたというものもかなり多くて印鑑押して終わりってのはそうそうない。 ま、印鑑だけだとしても総会長のも必要だったりするのだが。 パソコンのメモに必要そうなことだけを書き留めて書類を脇によける。 なんでこんなに長いんだか。 先ほど山から抜き取ってから約三分。その前の休憩時間は三十分。 で、今からも休憩。 効率はすごく悪い、と自分でも思う。 でも、つかれたんだもの。
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