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「これで全部か。んー、用務員さんいったいなにしたらこんなに書類が来るのだろう……」
次の書類を見ると、別の話らしかった。
なら、とりあえずいままでのをまとめないとね。
まあ、それをするのは家に帰ってからでいいか。
帰る前に購買にでも寄って行こうかな。
食べ物の類は買っても食べるの忘れて腐ってることが多々あるのだけどね。
書類を数枚カバンに押し込んで、立ち上がる。
窓は閉めっぱなしだし、温度調節もしてないし……問題なし、と。
カバンを持ち、電気を消して廊下へ。
授業が終わってからかなりの時間がたってはいるが、生徒がちらほら。
見覚えのある人は……いないと思うけど。
蜜菜もこの時間ならバイト中だし、購買たどり着けるかな……。
とりあえず、知り合い探して聞いてみるか……でも、そもそも誰が知り合いだっけ?
「これは、キリがないな……」
パチン、と指を鳴らす。
その合図ですぐにヨルはやって来た。
今は黒猫の姿だけど人型にもなれるらしい。
今まで見たことないけど。
黒猫だし、夜になると元気になるからヨル。
すごく安直な名前だけど、本当のやつよりはまし、たぶん。
本人がすごく長いっていってたから。
一応だけど、ヨルは式神ってやつに分類される。
とはいえ、特に何ができるってこともないのだけれど。
何も学ばずに呼べるのなんてこの程度、わたしの家は陰陽師だけど陰陽師家系ってだけでなんでもできるわけじゃない。
「どうしたの。また迷子かなんか?俺は道なんか覚えてないからね」
高めの少年の声。
猫がしゃべっているのだが、周りの人は全く驚かない。
何事もないようにそれまでの動きを続けていた。
この程度ならなれているのだ。
なれていて大丈夫なのかはかなり怪しいけど。
「いや、ここにいる人に知り合いとかいないかな……て」
「自分で覚えててよ、それくらい」
不満を言いながらもヨルは首を回して辺りを見回す。
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