第一章 迷える追跡者

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「あー、もう、あっちだよ。一階おりて行ったらぷちさんの声が聞こえるから!」 そんなことを考えて反応を返さないわたしにそう言ってさっきと真逆の方を示す。 その先には確かに階段。 けど、わたしはもう一度聞き返す。 また嘘だったら困るしね。 「本当?」 「本当だよ」 苦笑いをうかべて答えるその人にわたしはお礼をのべて階段へ向かう。 途中、生徒会室の前でキツイ声がしたのは会長の声だろう。 生徒会は会長、副会長、書記、会計、庶務の五人。 抑政会はかなりのんびりなメンツが集まっているのは生徒会が働きまくっててこっちまでくる仕事があまりないからかもしれない。 それでも処理が終わらないのは、もうあきらめるしかないさ。 とにかく、すごく忙しそうである。 まあ、二つ合わせればバランスは取れていると思うけど。 あの茶色い扉の向こうでは会長がいる限り無駄なことは出来ない。 無駄なことがあると大体仕事をやり直すことになるのだ。 生徒会って大変そうだよね、ほんと。 扉を横目でみながら通り過ぎ、階段を降りる。
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