私の願い

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「クーリスマスが今年もやって来る~……」  きゃっきゃ、きゃっきゃと歌いながら自分を追い抜いていく小学生達を横目に、トオルの気持ちは沈んでいた。逢川トオル、27歳OL。新卒当時は大手に受かったことで嬉しさとわくわく感で満ちていたが、忙しさも半端ではなかった。仕事における男女の差はなくなってきているとは言われつつもその影響は確かにあり、男以上の成果を出せなければ評価がされにくい。今年からやっと主任となることができ、漸く落ち着いてきたところだ。 「クリスマス……か」  負けず嫌いの性格故に去年までは仕事漬けの日々。女だからと舐められたくないと思い、同僚や大学時代の友達に誘われた合コンも蹴って仕事をしてきたきた。 その結果が今だ。容姿的には平均のそれを超えているのは思うが、恋人はおろか一緒に遊びにいく男友達すらおらず、女友達とのきゃぴきゃぴとした遊びも楽しさは感じられない。今まではそれでも良かったが、仕事に余裕が出来た今では焦りと虚しさが佇んでいた。  何を何処で間違ったのか。別に恋愛が嫌いなわけではない。男嫌いのわけでもない。ただ少し仕事を優先してしまっただけなのだ。今となっては出会いの場などあるわけもなく。前まではクリスマスで落ち込む人を見ると、なぜ恋人の有無でそこまで?と思っていたが、今の自分はまさにそれだった。 「……はぁ、らしくないなぁ」 「お悩みですか?」 「えっ?」  らしくなく息をつくと突如声をかけられた。駅前で人が多いため自分への言葉とは限らないのだが、何故かトオルはふりむいた。  そこには、ゆるいパーマの掛かった金髪の男がいた。年齢はトオルとそう変わらないだろうか。白い肌に違和感の感じない髪の毛、しかし欧米人ほど濃くもない。ヨーロッパ諸国と日本人のハーフだろうか。  彼がハーフであれ欧米人であれ、とりあえず知り合いではないことは確かだ。 「何かお悩みですか?」  彼は困惑の色を浮かべるトオルにもう一度問いかける。 「えっ、いや、あの。どちら様ですか?」
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