私の願い

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ーークリスマス当日ーー  約束の時間を六時半としたのはこれが理由でもあるのだが、今年のクリスマスは平日。バリバリ仕事があるのだ。  しかし、今日はいつもより更に更に仕事が捗った機嫌も仕事の出来も頗る良い。 「主任、もしかしてデートですかー?」 「はいはい五月蝿い。真面目にやりなさい 」  ニヤニヤしながら聞いてくる部下の頭をパコンと叩いて注意する。注意と言ってもトオルの顔は怒っておらず、はたく強さも弱い。  一週間前にも思ったことだが、本当にここ最近でトオルは変わった。前までは仕事中に私語やふざけなど一切許さず、近寄りがたい空気も纏っていただろう。それが今ではチームの空気は和気あいあいとしており、おふざけ……というと言い方は悪いが、そういうのも増えた。だが、結果的にはチームの成績は上がっているのだ。 「本当に、サンタさんみたいだなぁ」 「なんか言いました??」 「なんでもないわよ。ほら、やるやる!」  偶然にしてもトオルに幸せを運んでくれたことと、赤井太一という名前からサンタという言葉が出てきた。  ただ単に、'赤'くて'太'ってるというダシャレに過ぎないがその存在は彼女の中ではまさにサンタさんのようだった。 「あっ、午後の外回りいってきまーす」 「サボんじゃないわよー」  定時まであと四時間あまり、そう思うと一層仕事に身が入る。 「さて、もうひと頑張りしようかな」 ーーーー 「さて、ここも終わった。……もう少し急ぐか」  赤井は仕事の準備を着々とこなしていた。あの人の願いを叶える為に。  六時半からはトオルと会う約束があるため、仕事の準備を早めるように努めた。
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