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「蓮念、一つ聞きたいことが。」
「ほう、どうした?」
「蓮念って、生前は男だったんだろ?何で女に変わったんだ?」
俺がそう聞くと、蓮念はいたずらっぽく笑った。
「ふふふ・・信二、それは違うぞ。」
「へ?」
俺が眉をひそめると、蓮念は得意げに話しだした。
「我らが男女の交わりを重ね、仏と一体になろうとしたのは知っているな?」
「まあ・・それで即身成仏を目指したんだっけ?」
「そう!男女が一つになる事こそ、命を生み出す儀式であり、生き物として最も自然かつ美しい姿だというわけじゃ。」
「・・それで?」
いまいち話が見えてこない。それが女の体とどう繋がるんだ?
「わからぬか?男女が一つになる、それを究めようという気持ちが、死後のこの体に影響を与えたとしたら・・」
次の瞬間、蓮念は驚くべきことを口にした。
「今!!我のこの体は、男女の特徴を両方兼ね揃えておるのじゃ!!」
「ええ!?」
じゃ、じゃあ・・今はいわゆるフタ○リ状態??
だが、蓮念の顔を見るにおそらく嘘ではない。そんな嘘をついてどうなるものでもないだろう。
「男女の神秘を宿したこの体。我は今本当に誇らしい気持ちじゃ。よきかな。よきかな。」
蓮念はくるくるとはしゃいでいる。・・ま、本人がいいならどうでもいいが・・・
「でも、その割に見た目は完全に女だな・・」
そうなのだ。顔も体のシルエットもきれいな女性なのだ。何故ここまで偏ったのだろう?
「ああ、そのことか・・我は推測しかできぬが・・」
蓮念は頷き、話し出した。
「女は、腹の中で子を守り、下から子をひり出し、胸にある乳房で乳を与える。男とは全身の役割の幅が違うのだ。そのせいじゃろ。」
「はあ・・」
分かるような分からんような理屈だ。まあ、こんなものに明確な理由なんぞないだろう。
「というか・・」
「へ?」
「男性の体についた乳房なんぞ見たいか?」
「嫌だな。」
俺が即答すると、蓮念は大笑いしていた。
・・にしてもつくづくとんでもないやつだな・・・
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